政府が備蓄する米の調達制度である「随意契約」は、災害時の安定供給を支える一方、近年その運用の透明性や競争性に課題が指摘されています。こうした中、家電大手のアイリスオーヤマが精米事業に参入し、防災食市場への展開も本格化させています。
ここでは随意契約制度の基本と課題、新規参入企業の戦略、そして今後の備蓄米流通に関する展開予測について分かりやすく解説してまとめてみました。
備蓄米の随意契約制度とは
随意契約制度とは、食料安全保障のために保有する備蓄米を必要時に安定供給するための重要な制度です。日本政府は、食料安全保障の一環として、一定量の米を備蓄しています。この備蓄米の調達には、一般競争入札と随意契約の2つの方法があります。随意契約は、特定の条件を満たす業者と直接契約を結ぶ方式で、迅速な調達や地域振興を目的としています。
備蓄米騒動の発端は?
近年の動向として、随意契約に関する透明性や公正性が問われる場面が増えています。具体的な例を簡潔に述べると、特定の業者への偏った契約や、価格設定の妥当性に関する議論が起こっているのです。今後の課題としては、災害時の迅速な供給体制の整備や、さらに進化を遂げる長期保存に適した製品の開発も求められています。
消費者目線では、中小企業の生産者の方々の思いや動きを正確に察知することは難しいのが事実です。しかし、これだけを抜き取って聞くと、大企業をはじめ特定の業者に対する贔屓にも感じられてしまいそうですよね。
注目のアイリスオーヤマ随意契約と精米事業参入の背景は?
アイリスオーヤマ随意契約成立
アイリスオーヤマは、政府の備蓄米を民間に供給する「随意契約」制度に基づき、2022年産の米1万トンの購入契約を締結しました。この契約により、自社の亘理精米工場で精米した米を、公式通販サイト「アイリスプラザ」やグループ店舗で販売するとのこと。精米の商品名は「和の輝き5kg」で、税込2,160円。5月29日から予約販売が開始され、6月2日より店頭販売が予定されています。
また、小泉進次郎農林水産大臣は、従来の入札制から随意契約への移行を主導し、備蓄米の民間活用を推進しています。この制度改革により、アイリスオーヤマを含む19社から約9万トンの購入申し込みがありました。小泉大臣は、想定店頭価格を5kgあたり2,160円とし、消費者への安定供給と価格の適正化を目指しています。これについても様々な賛否両論が巻き起こっていますが、消費者からの小泉大臣主導で手掛ける制度改革には期待が高いようです。
アイリスオーヤマ精米事業参入の背景
アイリスオーヤマは、農業分野にも積極的に関与し、2013年に精米事業に参入しました。背景には、東日本大震災後の復興支援や、消費者のニーズに応える製品開発があります。同社は、舞台ファームと共同で「舞台アグリイノベーション」を設立し、低温精米や小分けパックなど、消費者視点の製品を展開しています。
“子供にも安心して食べさせられる、独自の無菌設備と品質保持手法により、添加物を使用せずに低温製法米と水のみで生産している”というのが謳い文句のパックごはんですから、それだけで消費者は常備品として手にしたくなりますよね。
また、近年では、人気俳優の吉沢亮さんがアイリスオーヤマのコマーシャルで「CMプランナー要正直」に抜擢され、テレビで目にすることも多くなりました。そのCMでも、パックごはん「低温製法米のおいしいごはん」の魅力を伝える内容が公開されており、『アイリスオーヤマといえばパックごはん』ないしは『パックごはんといえばアイリスオーヤマ』というイメージを持つようになった方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そして、独自の低温精米技術や長期保存可能な製品開発により、従来の枠組みに新風を吹き込む同社の動きは、備蓄米制度そのものの在り方にも影響を及ぼしつつあるのかと思います。収穫したてのお米を直ぐに調理過程に持っていき、長期保存可能とあらば、わざわざ何年も前の備蓄米を家庭で炊飯して同じ美味しさを再現できるのか…。もちろん「土鍋で炊き立てを味わいたい」「いちいちパックごはんを購入していたら家計がもたない」「食品のストックを抱えたくない」など、個人的見解は様々かと思いますが、『アイリスオーヤマパックごはんvs一般家庭で何年も前の備蓄米を精米し炊いたごはん』の比較は是非とも正味検証してみたいものです。
アイリスオーヤマの防災食市場参入について
上記背景に伴い、アイリスオーヤマは、防災食市場に積極的に参入しています。
2021年に発売を開始した「低温製法米® アルファ化米」、水やお湯を注ぐだけで食べられる「低温製法米® アルファ化米」は“®”マークが付いているので、独自製法ともあれば商標として登録されているんですね。この製品は、15℃以下の低温で保存・精米・包装を行い、賞味期限は5年6ヶ月と長期保存が可能だそうです。 まさに防災食に打ってつけの商品ですね。
備蓄米と米の市場価格に関する今後の動きは?
アイリスオーヤマの参入により、備蓄米市場に新たな競争と革新がもたらされています。同社の製品は、消費者の多様なニーズに応えるとともに、災害時の備えとしても注目されています。今後は、他の企業との連携や、さらなる製品開発を通じて、より安全で安心な食料供給体制の構築が期待されます。
まとめ
備蓄米という今まで聞き慣れなかったワードも、今回の政府の騒動をきっかけに毎日のようにテレビや様々なメディアで目にするようになりましたね。また今回の騒動で大企業も再び注目を浴び、アイリスオーヤマのパックごはん開発の背景や技術の素晴らしさに触れることもできました。
備蓄というものは様々な面で取り入れられている言葉ですが、日本を代表する食材で多種の銘柄ブランドが存在する「お米」。政府の判断だけに捉われず、消費者・生産者の双方で最も最善の形で流通できる動向に至ってもらえることを願うばかりです。
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