2025年4月30日、立憲民主党は「選択的夫婦別姓制度」の導入を目的とした民法改正案を国会に単独で提出しました。この法案は、結婚時に夫婦が同姓または別姓を選択できるようにし、子どもの姓も婚姻時に決定することで兄弟姉妹の姓を統一することを定めています。立憲民主党は、国民の価値観の多様化に対応するため、この制度の導入が必要であると主張しています。
今回はこの議案が抱える問題点や今後の進展予想についてまとめてみました。
「選択的夫婦別姓制度」とは?
日本における「夫婦別姓」の議論は、長年にわたり社会的関心を集めてきたテーマです。現在の民法では、結婚する際に夫婦は同じ姓を名乗る必要があると定められており、実質的にはどちらかの姓に統一しなければならないのです(民法750条)。ただし、現状では96%以上の夫婦が夫の姓を選択しているというデータがあり、特に女性の改姓が慣習的に強く求められている現状があります。
この制度に対しては、個人のアイデンティティの尊重や、職業上の不便などを理由に見直しを求める声が高まっています。その一方で、「家族の一体感」や「日本の伝統」といった観点から、現行制度の維持を主張する声も根強いことも事実です。2024年にも改めて国会で夫婦別姓制度導入に向けた議論が行われる予定であり、改正の是非を巡って活発な意見交換が続いています。
現行制度の問題点は?
現行の同姓制度に対しては、以下のような課題が指摘されています。
【アイデンティティの喪失】
結婚によって姓を変えることで、自分のキャリアや社会的実績が他者から認識されにくくなる。特に研究者や芸能人、起業家などは、旧姓での活動実績が多いため、改姓が不利益をもたらす場合がある。
【行政手続きの煩雑さ】
改姓に伴って運転免許証、パスポート、銀行口座、保険、SNSアカウントなど、あらゆる登録情報の変更が必要になり、膨大な手間がかかる。
【ジェンダー不平等の温床】
制度上はどちらの姓を選ぶことも可能だが、実際には夫の姓に統一されることが多く、女性側に偏った不平等が存在すると指摘されている。
夫婦別姓制度の国際的な比較
世界的に見ると、夫婦同姓を義務づけている国は少数派です。以下にいくつかの主要国の状況を紹介します。
- アメリカ合衆国
法律上は自由選択制であり、夫の姓、妻の姓、ハイフネイテッドネーム(複合姓)、別姓などさまざまな選択肢がある。州によって手続きの違いはあるが、夫婦別姓は一般的に広く受け入れられている。
- ドイツ
1991年の法改正により、夫婦は同姓を選ぶことも、どちらかの姓に統一することも、あるいは別姓のままでも構わない制度が導入された。夫婦別姓にした場合でも、子どもの姓はどちらかに統一するよう決める必要がある。
- フランス
伝統的には夫婦はそれぞれの姓を保持することが一般的。法的にも、結婚によって姓が変わることはない。社会的には「使用名」として配偶者の姓を名乗ることができるが、戸籍上は変わらない。
- 韓国
文化的に「家」や「血統」が重視される社会であるが、法律では夫婦別姓が原則であり、女性が改姓することは基本的にない。子どもは父方の姓を名乗るのが通例である。
これらの例からも明らかなように、夫婦別姓は先進国を中心にすでに一般的な選択肢として制度化されており、日本の現行制度はむしろ例外的である。
日本における法制度改革の動き
日本では、1996年に法制審議会が「選択的夫婦別姓制度」の導入を提言したが、その後の立法には至っていないです。過去には最高裁においても合憲判決(2015年)が下されたが、個人の尊厳や男女平等の観点からは依然として議論が続いています。
2021年には、選択的夫婦別姓制度を支持する意見が、内閣府の世論調査で約70%に達しており、国民の意識は変化しつつあるのです。また、超党派の議員連盟も発足し、議案提出の準備が進められています。現在審議されている議案では、「選択的」制度として、希望する夫婦に限って別姓を認めるものであり、同姓の選択も引き続き可能とする内容となっています。
今後の課題は?
仮に選択的夫婦別姓制度が導入されたとしても、それによって直ちにすべての社会的課題が解決するわけではないです。たとえば、子どもの姓をどうするか、家族関係をどう社会的に捉えるかなど、新たな課題も生まれます。
一方で、「同姓でなければ家族になれない」という前提を見直すことは、多様な家族の形を社会が受容する一歩となり得るでしょう。また、国際結婚が増加する中で、夫婦別姓の柔軟な制度は、国際的な整合性を取るうえでも有効です。
選択的夫婦別姓制度は、誰かに姓の変更を強いるものではないですよね。むしろ「選ぶ自由」を保障する仕組みであり、多様性を認め合う社会に向けた前向きな一歩と言えるのではないでしょうか。
ネット上の反応は?
戸籍上のファミリーネーム、なので戸籍の範囲を言いたいのでしょうが、大切にすべき家族の価値を、狭い戸籍の範囲に限定して語られていますね。 理解できないし矛盾していると感じます。 戸籍外の祖父母だって結婚した子だって大切な家族なので。 だから「家族名」じゃなくて「ファミリーネーム」って外来語にしてごまかしてる? 同じ戸籍の範囲内は何がなんでも同姓!てするためなら他が全部変なことになってもかまわないのでしょうか。そこまでして守る一籍一氏って、何の役に立つのでしょうね。
色々と視点があると思うけど、別姓にしたら「家族の一体感が失われる」というのは宗教の教義にようにしか聞こえないかな?こういった主張をしている人は、姓が違うだけ、変えるだけで家庭崩壊に繋がるという話をするのだろうか? 夫婦別姓にするからと言って、戸籍制度を無くすという話はしていないし、戸籍を見れば、親子関係が判ることを変更するものではないでしょうし。 そもそも家族の一体感なるものは、親密な家族間コミュニケーション等をとることによって培われ、維持されるものであって、姓を同じにしているから維持できているものではない。家族の一体感の重要性を考えるにあたり、本質を見ていない印象を受ける。
やはりこういった議題には賛否両論、両極端な見解がしばしば見受けられます。
まとめ
みなさんは「夫婦別姓議案」について、どのような感情を抱きましたか?
日々いろいろな議案改革が推進される一方で、やはり国の未来を左右する議案決議となると、良くも悪くも中々精進しないのも現実ですよね。
歴史を重んじる風潮がある一方で、様々なファミリースタイルが施されるようになった現代。だからこそ、日本国民のひとりひとりにマッチし、現代が抱える生き辛さを払拭するような議案改革になることを祈るばかりです。
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