2025年3月に公開されたディズニーの実写映画「白雪姫」は、期待された興行成績を大きく下回り、世界的に大きな話題となりました。日本では、大型連休中にも関わらず上映が打ち切られる事態が発生、さらには、同ディズニーが進めていた実写版『塔の上のラプンツェル』の制作も中止されるなど、大きな悪影響が出ているようです。
今回は、そんな「白雪姫」の興行不振の要因と背景を簡単にまとめてみました。
実写版「白雪姫」の興行不振とその背景は?
童話として世界的に長年親しまれ、ディズニーアニメーションとしても愛されてきた「白雪姫」。そんな白雪姫がディズニーの制作により実写化され話題を呼んだのも束の間、なんと莫大な興行不振に陥っていることで再び話題となっています。「白雪姫」の実写版は、製作費が約2億4,000万~2億7,000万ドル(約370億~420億円)とされ、ディズニー史上でも屈指の高額な制作作品でした。しかし、世界興行収入は約2億170万ドルにとどまり、1億ドル以上の赤字が見込まれています。
この興行不振の背景には、主演のレイチェル・ゼグラーによる原作批判や政治的発言、7人の小人の描写に関する議論など、公開前からの度重なる論争が影響したとされています。
また、その影響は日本にも波及しているようです。実写版「白雪姫」の日本公開日である2025年3月20日から経日の浅いままゴールデンウイークという大型連休中にも関わらず、上映が打ち切られる劇場が続出。さらに、同ディズニーが進めていた実写版『塔の上のラプンツェル』の制作も中止されるなど、同社の戦略に大きな転換を迫るような緊急事態となっています。
実写版『塔の上のラプンツェル』の制作中止
「白雪姫」の失敗を受け、ディズニーは実写版『塔の上のラプンツェル』の制作を中止しました。同作は、監督にマイケル・グレイシー、脚本にジェニファー・ケイティン・ロビンソンを迎え、既にプリプロダクション(映画や映像作品・イベントなどの制作工程において、撮影や本番前に必要な準備作業全般)段階に入っていましたが、ディズニーは実写リメイク戦略の見直しを迫られる形となりました。
こちらについては、企画、脚本、絵コンテ、キャスト・スタッフの決定、予算やスケジュールの決定、ロケハンなど、制作の方向性を決定し、スムーズな制作を可能にするための準備が整っていたのにも関わらず中止という形に踏み入ったことを意味するので、ディズニー制作にに関わる全ての方たちにダメージが及んだことでしょう。
ポリコレ映画の殿堂入りに?
「ポリコレ映画」とは、人種、性別、国籍、宗教、年齢、障害など、社会的なマイノリティや弱者への配慮が強く意識された映画を指します。具体的な表現として、従来の固定観念や差別的な表現を避け、多様な価値観を反映した物語作りを目指すことが挙げられます。
今回その名に挙がってしまった要因には、ディズニーの実写版「白雪姫」のキャスティングが発表された際にある模様です。白雪姫を演じる女優にラテン系女優のレイチェル・ゼグラーが選ばれたことが、批判の対象となりました。彼女が白雪姫のイメージに合わない、ポリコレの影響であるとの声が上がったのです。そして、瞬く間に”ポリコレ映画として大コケ”として名を馳せてしまいました。
以下、レイチェルさんのInstagramより、熱意のこもったリハーサルや制作現場を目にすると、なんとも、もどかしい気持ちになります。
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ディズニー実写化の今後の課題は?
ディズニーはこれまでに、『美女と野獣』『アラジン』『ライオン・キング』などの実写リメイクで成功を収めてきた一方で、近年は『ダンボ』『ピノキオ』などの不振も続いていました。
また、キャスティングについては以前にも、実写版「リトル・マーメイド」でヒロインの人魚姫アリエル役を、アフリカ系アメリカ人のハリー・ベイリーさんが演じたことにより、アメリカでは、大論争を呼んでいました。
「白雪姫」の失敗は、実写リメイク戦略の限界を示すものとなり、同社は今後、オリジナル作品の強化や、より慎重な企画選定が求められるでしょう。
日本での世間の反応は?
観客からは、「原作の魅力が損なわれている」「政治的メッセージが強すぎる」といった批判が相次ぎ、SNS上でも否定的な意見が多数を占めているようです。
やはり人種や政治的なメッセージが強く込められた作品には、厳しい声が挙がってしまうのが風習ともいえるような時代なのでしょうか。
まとめ
ディズニーの実写版「白雪姫」の興行不振は、同社の実写リメイク戦略に大きな転換を迫る出来事となりました。日本でも上映の早期終了が続出し、観客からの厳しい批判が相次ぐ中、実写版『塔の上のラプンツェル』の制作中止が発表されるなど、影響は広範囲に及んでいます。
今後のディズニーの動向に注目が集まります。数々の素敵な作品を長年生み出しているディズニーの名がこれ以上汚染されないことを祈るファンも多いことでしょう。
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